夢の続きのこと

今朝の夢の話。

山梨県の古びたお店で、こしあん入りのコッペパンをふたつ購入した夢を見た。久々に山梨に帰ってきたヒトが、絶対買って帰る!と言っていたので、わたしも是非!とついて行ったのだ。行列に並び、ようやく入れた店は、商品が平棚に無造作に置かれており、キレイとかオシャレとかとは無縁だったけれど、地元の方が朗らかに経営されていて、すごく良い雰囲気だった。地元民オススメのあん入りコッペパンをカバンにつめて、ほくほくと駅への道へ向かうところで目が覚めた。

寝ぼけ眼で、今日はあのコッペパンが食べられる、と嬉しくなったけれど、すぐに、あれが夢だったことに気づいてしょんぼりした。

確かに、カバンに、たっぷりあんこがつまったコッペパンふたつ分の重みを感じたんだけどなあ。

大根の束ね方のこと

たくわんを手作りしようと思い立ち、まずは収穫した大根を吊るしてみることにした。

大根を何本か紐でつないで軒に吊す風景は、新聞やテレビで見たことがある。

そうそう、あんなイメージね。

麻紐を用意して、さあいざ繋ぐぞと大根を持ち上げて……。ん?どうやって結ぶんだこれ?

とりあえずくくっては外し、結んでは外し、何度か繰り返し、なんとなく形になってきた。バランスはおかしいけれど、なんとか吊るせたのでよしとした。

あとで大根を干すときの吊るし方を調べてみたら、もっとシンプルにくくってあったので、すごいなと思った。

うろ覚えと想像力だけでは限界があったようだ。

大気の海を漂うのこと

街路灯のぽっかり明るい空間のなかで不規則に舞う雪を見ていたら、液体の中でかき混ぜられた粒子を連想し、今更ながら大気は「空っぽ」じゃないということを思い出した。

わたしたちも大気の海を毎日泳いでいたのだな。

満月だよの声のこと

すっかり暗い帰り道、真黒の空に奇妙な白がぽわりと浮かんでいる。

小さな白い雲かしら。いやいや、こんなに暗いなか、ひとつだけ白く見えるなんておかしい。

重たい雲の向こうに月があるのだろうと、しばらくじっと見つめていると、あちこちが白くなりだした。月だとすれば、かなり強い光だ。

頭上から「今夜は満月だよ」と言われた気がして、それなら月の暦でも調べようかと思った途端、雲の切れ間から黄色いまんまるのお月さんが顔を出された。

あれまあ、ほんとに満月だべ。と、たまげているうちに、分厚い雲に覆われて、月の影すら見えなくなった。

不思議なこともあるもんだ。

エールをいただくのこと

人生の転機を迎えました。それは、はっきりと分かるのです。

はるか遠くに、わたしが暮らしたい世が見えるものの、そこにつながる道はまだ見えません。

見えないけれど、進まなくては。とりあえず、今の場所で、少しずつ、お別れの準備を進めています。

今までにお話しできたのは、ごく少数のヒトたちですが、思った以上にエールをいただいています。

不思議です。先の見えないわたしの説明は覚束ないし、道を違えることになるのだから、もっと責められたりバカにされたりしちゃうかと思っていたのに。

ヒトに恵まれているということを、心底実感しています。

ヒトそれぞれのフィルターのこと

少し日が陰る時間帯の大地の色が一番きれいだと、母が言うので驚いた。

わたしだって、雨の日も曇りの日も身近な自然をながめているのに、生まれてこの方そういう風に感じたことがなかった。

よくよく聞くと、母は「色」をよく見ているようだ。

わたしはというと、シルエットが好きで好きで、朝や夕方の空を背景に浮かび上がる樹形とか最高だなと思っている。

つまり、わたしは「形」をよく見ているようだ。

世界は同じなのに、ヒトは自分のフィルターを通して、この世を楽しんでいるのだなあ。

丁寧な言葉の響きのこと

ラジオをつけたら、レコード音源のようにわずかな雑音の混じる歌が流れてきた。合間には、番組へのお便りを紹介する、抑揚のない進行役の語りが入る。

気になってそのまま聴いていると、途中で声の調子ががらりと変わり、今流れていたのは昔のラジオ音源だという紹介が入った。

その落差がすごい。

馴染みある現代のラジオでは、感情豊かに抑揚をつけて話しているのに対し、昔のラジオには抑揚がない。ひたすら平坦で、丁寧な言葉が積み上げられていく。

もう少し聴いていたいな、と思った。

身体に優しく話しかけるのこと

午後からおもくるしい予定があった。そのために物事を考えるゆとりのない状態で走り続けなければならなかったので、自分が緊張しているという自覚はなかった。

わたしがそれに気付いたのは、お弁当を半分食べた頃だ。お腹がいっぱいになっていた。いつものお弁当箱にいつものようにつめたご飯とおかず。冬の間はカップ味噌汁やカップスープを追加するのは常のこと、いつもはおやつまで食べるのに。まだ、半分残ってる。あと半分食べ切れるかしら、と不安になった。

そう言えば、なかなか食べ終わらないな、と感じていた。いつもなら、とっくに食べ終わっている頃だ。いつもよりご飯を食べるペースが落ちている。そりゃそうか、もうお腹いっぱいだもんな。

でも、なんで?昨日も帰りが遅くて、ごはんをしっかり食べられなかったから、胃が縮まったのかしら。それにしても急すぎる。

そこで、あっ!と気がついた。わたし、緊張してるんだ。緊張で、お腹が縮まっちゃってる!頭は鈍感になっていたが、身体は心を失わず、感じたことを表現してくれていたのだ。

大丈夫だよ、お腹さん。今は緊張で入らないと思うかもしれないけど、いつもはこのお弁当箱ひとつ、ペロリと平らげているよ。本当は全部入るくらい、お腹は空いているはずよ。

左手でさすりながら語りかけるうちに、お腹も緊張を解いてくれたらしい。おまけのミカンまで、ちゃんと食べることができた。

ちなみに、夕方にまたらバタバタと走り回ることになったため、このときちゃんと食べられて本当に良かったと思う。

ありがとう、身体さん。