青色愛好集団のいる荒野

どんなに魅力あるものも、強いられた途端に興醒めする。

青色愛好集団

青色を愛してやまないヒトとその取り巻きで構成される集団です。

青を崇拝するあまり、青ではない色が許せず、ボディが青くない同胞を青い布で包んで排除する運動を行ってきました。

客人に寛大な彼らは、荒野を通行したいと願う者に青布を贈り、青色を崇め身につけ続けることを条件に通行許可を出しています。

なお、数多くの同胞を排除した結果、祖先が築いた文明を維持することができる技術とやる気のある者が残っておらず、少し困っています。

蛾竜

過酷な環境でも生きることができる蛾の仲間です。

竜の子孫であるという教えを、代々語り継ぎ、誇りに思っています。

青色愛好集団とは種族が違うため、青色を強制されたことはありません。

氷筒馬虫

土や砂に含まれる鉱物を再結晶化して筒型の巣を作る馬虫の仲間です。

青色愛好集団とは種族が違うため、青色を強制されたことはありません。

青まだらムカデ(赤青ムカデ)

荒野で最もよく見かけるムカデの仲間です。

青色愛好家集団により、「赤青ムカデ」から「青まだらムカデ」と改名されましたが、本人たちはそのことを知りません。また、知ったとしても全く気にしないでしょう。なぜなら、自らの本当の名とは全く違うからです。

緑石虫

宝石のように美しい光沢をもつ虫です。

他の地域では乱獲されて絶滅の危機にありますが、青を偏重するこの荒野では見向きもされず、のんびりと暮らしているようで、徐々に勢力を拡大しています。

(2021.7.25)

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