きっかけはアオスジアゲハのこと

まだお肌の調子がイマイチのままなのに、この場所にまた言葉を紡ぎにこようと思ったきっかけは、やっぱり生き物でした。

いつものランチタイム、ベンチに腰掛けてサンドウィッチを食べていたら、足元に交尾中のアオスジアゲハが二羽飛んできたのです。つま先から5センチも離れていない場所に降り立って、そのまま交尾しています。

え、ちょ、あの、そんな近くでいいんですか?なんか、私がちょっとでも動いたら、蹴っちゃいそうで怖いんですけど。ま、まあ流石にちょっと待ってれば、この方達も別の場所に飛んで行くよね。人間の近くなんて、嫌だもんね。…………まだいるな。…………(サンドウィッチを食べ終わる)…………(水筒からお茶を飲む)……まだいるな。…………(スマホを取り出し、文章を入力する。10分程度経過する。)……ま、まだいるな。も、もう行かないといけないから、あの、行きますね。ああ、普通に立ち上がったら、足がぶつかっちゃう。そっと、こう、足を抜いて……。はあ、緊張した。

という面白体験をしたので、この場所に書き綴りたくなったのです。

自分では制御できないオモシロが向こうから来てくれると、地球が遊んでくれているような気持ちになって、赤ん坊のように嬉しくなります。

振り向かせる力のこと

雨降り。傘をさし、足元だけを見て歩いていたのに、濃密な甘い匂いに思わず足が止まった。雨粒が当たるのも構わず、傘を持ち上げ周りを見ると、塀の向こうに蝋梅が咲き誇っている。

昨日も、一昨日も、小道を歩いていたのに気が付かなかった。そんなわたしを振り向かせる蝋梅の力。

ちなみに、夜、蝋梅のことをすっかり忘れて、再び同じ道を通った時も、その蜜の匂いに振り向かされた。

おそるべし。

テントウムシベルトのこと

河原を散歩していたら、いつのまにかナミテントウさんが衣服にへばりついておりました。

あらあらと思って背中側を見ると、模様の違うナミテントウさん。

この上着の色や素材が好きなのかしらと思っていたら、となりにいた母のズボンにもナミテントウさんが三匹。

どうやら今立っている場所が、ナミテントウさんたちの通り道になっているらしい。

見えないけれど、太平洋ベルトのようなナミテントウベルトが存在するようだ。

 

 

イチョウ並木の下を歩くのこと

鮮やかな黄色!美しいイチョウ並木!

素晴らしさを体感しようと歩いてみると、漂うギンナン臭。

足元で潰れるギンナンたちを踏まぬよう、ヒヤヒヤしながら歩かねばならぬ。

こういうのは体験してみないとわからんもんよね。

でもたぶん、来年には忘れて、またうきうきとイチョウ並木を目指すんだろうな。

 

 

とうに虫は隠れたのこと

夜道の途中、コオロギがグルリリと一声鳴きまして、はたと気がつきました。

いつの間にか、無音の世界になっていたのです。

家に帰って暦を見ると、虫たちが隠れる時期などとう過ぎ、地面が凍りはじめる頃となっていました。

今年は虫の音に遊ぶ余裕がありませなんだ。

タブノキの葉の裏にいるのこと

タブノキの葉のまんなかに、ぽつんと黒いシルエット。

いるぞいるぞと期待して、反対側に回り込めば、ぽってりとした独特のボディ。

アオスジアゲハさんのお子さんを発見しました。かわいい。

ドジョウを見つめる他の魚のこと

ドジョウのまわりに違う種類の魚が集まっている。

ドジョウが水底の泥をもちょもちょと口で探るのを見つめ、たまに湧き上がるおこぼれを狙っているらしい。

そんな関係性もあるのね。

セグロアシナガバチの巣のこと

我が家の庭の片隅に、セグロアシナガバチさんの巣ができていました。

5月、女王バチが巣作りを始める頃、人が出入りする所の近くで発見した場合は、いずれ刺されたら困るということで早急に落としてしまうのですが、この巣は全く気づかないまま大きくなったようです。

しかし、全盛期だったはずの9月が終わったのに、巣も小さめだし、巣の上にしがみついている働き蜂たちも元気がない様子。少し色の違う雄蜂もいるようなので、女王蜂が巣立った後なのかもしれません。

今までも人と接触することはなかったし、寒くなるにつれて巣も崩壊してしまうだろうからと、今回はこのまま様子を見ることにしました。

たびたび見守りたいと思います。

ホシホウジャクがいるときといないときのこと

ハチドリのようにホバリングしながら、筒状の花から蜜を吸う姿が可愛らしいホシホウジャクさん。まだまだ暑くて明るい夕方の街路樹で見かけてにこにこしていたら、2メートルほど離れたところに別の個体を発見しました。今日は運がいいなーとさらににこにこしていたら、さらに2メートルほど離れたところに別のお方が。合計5匹くらいのホシホウジャクさんたちをお見かけしたので、この場所が好きなかしらと思ったのですが、別の日、同じような時間帯に歩いてもいらっしゃらないのでございます。

いるときといないときの違いが気になっています。

ヒョウモンチョウをじっと見るのこと

幼い頃は見かけなかった虫のひとつにヒョウモンチョウさんがおります。

クマゼミ然り、ナガサキアゲハ然り、温暖化の影響で今ではすっかり身近な虫になったのに、なんとなく「よそのひと」という態度をとり続けておりました。

昨日、ヒョウモンチョウさんをじっくり観察する機会がありました。羽を摘んで、虫眼鏡を近づけて、手の中で生きているヒョウモンチョウさんの姿はあまりに美しく、思わずスケッチしてしまいました。

わたしがヒョウモンチョウさんを遠ざけていたのは、よく知ろうとしなかったから。

今ではすっかりメロメロです。