灯のない夜道はこわいのこと

住宅街の路地のなかには、灯がほとんどあたらないところがあります。

そんななか、前方から、おじいさんらしきシルエットが歩いてきましたが、顔が影になっていて全く見えません。どうやら小型犬を抱きかかえているようですが、この犬の顔も影になっていて全く見えません。しかも、おじいさんの足取りはスタスタではなくヨタヨタとしていて、なんだかちょっと怖いのです。

付近には街灯がないため、わたしが不安に思うのと同じだけ、このおじいさんもわたしのことがよく見えないだろうと思い、大きな声で「こんばんは!」と挨拶をしました。暴漢などと間違われないよう、怪しくない人物ですアピールをしたかったのです。

しかし、おじいさんからの返事はありませんでした……。

明るいうちなら、「あ、おじいちゃん、気づかなかったんだろうな。」で済むような些細なことですが、夜、顔の見えないなか、無言で立ち去られると、もう、それだけで怖い。「え、あれ、ほんとうにおじいちゃんだったかな?」とか、意味もなく考えてしまって、非常に怖い。

ただ人が歩いているだけでも十分怖いのだから、灯のない夜道で妖怪やら魑魅魍魎やらの話が出るのも頷けます。怪談は、どちらかというと夏よりも、秋の日はつるべ落としの、まさにこの時期に盛んになるべきではなかろうか。

ちなみにわたしは、怖い話が非常に苦手です。

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