アイスを食べる人々のこと

朝はとても寒かったのに、真昼間に屋外へ出ると予想以上の暑さだった。朝の寒さが忘れられなくて上着を一枚着てきたが、これなら半袖で歩いていても良いくらいだ。

お昼ご飯を食べる場所へ移動するわたしの前に、横道から人が2人現れた。手に持っている食べかけの棒アイスに、つい目が向いてしまう。

いいな〜、わたしも食べたいな〜。でも、乳製品も冷たいものも、胃腸のために避けているので食べられないのだけれど。

ベンチに座り、本日のお昼をひざの上に広げると、斜め前に人が1人座った。手に持っている食べかけの某アイスに、つい目が……って、某アイス率、高いな。急に暑くなったので、アイスを求める人がそれくらい多かったということだろう。

いいな〜、わたしもひとつくらい、食べればよかった。

ドジョウを見つめる他の魚のこと

ドジョウのまわりに違う種類の魚が集まっている。

ドジョウが水底の泥をもちょもちょと口で探るのを見つめ、たまに湧き上がるおこぼれを狙っているらしい。

そんな関係性もあるのね。

脱皮しているのかもしれないのこと

夏の終わりに素晴らしく良くなりかけたのに、秋に入ってまたボロボロになりかけた皮膚は、ここにきて再び良くなりかけています。

まるでよせてはかえす波のよう。

長く表皮に悩まされていると、一夜にしてつるりと脱皮する虫たちのことが羨ましくなりかけて、いや、待てよ、本当に「一夜」か?と思い直しました。

かわいいかわいいおカイコさまの一生分の時間を仮に60日とします。

そのうち4回行う脱皮の前には、ご飯も食べず、丸1日程度祈りのポーズで固まる時間があります。

人の一生に置き換えてみましょう。

分かりやすくするためにあえて乱暴にわたしの一生分の時間を60年と仮定すると、脱皮のための準備に1年×4回!?

一朝一夕に治らないはずだわと思いました。

おいしいおまんじゅうを嗅ぎつける能力のこと

自分の誇るべき能力のひとつに「おいしいおまんじゅうを嗅ぎつける能力」がある。

旅先のよく知らないお土産たちのなかから、素朴で一番美味しいと思われる銘菓を選ぶのが得意なのだ。

地元で作っているシンプルな材料のお菓子、というと、大概は老舗と呼ばれるお店のおまんじゅうになるのだが。

長年愛されているものって、やっぱり、ちゃんとおいしい。

描いてみなければ気づかなかったのこと

描いてみないと気づけないことがあります。

例えばスズメバチの足の色。

黄色が目立つ頭や腹とは違い、暗い色合いなのですが、だからといってのっぺりと一色で塗りつぶしてしまうと、履いているはずのないタイツが存在しているような微妙な違和感があります。

よくよく見ると、明るい色がちらほらと入っているのですよね。

とても美しいお方です。

ご縁があるのこと

旅先の自動販売機でお茶を買っていたら、すぐ近くの家のヒトたちが声をかけてくださった。軒先で干した柿を販売しているが、ぜひ味見だけでもしていってとのこと。

遠慮なく味見させていただくと、爽やかで甘い、初めての味わい!

食べ慣れた干し柿ののってりとした強い甘味とは違う、軽やかでとても好みの味だったし、まさに今、お茶請けが欲しいと思っていたところだったので即購入させていただいた。

求めているものが向こうから声をかけてくださるなんて!

ご縁があるってすばらしい。

うちなるヒトが喜んでいるのこと

一度も訪れたこともない見知らぬ風景に、なぜか目頭が熱くなった。

ああ、ようやくここまで来れたのだと、うちなる誰かが喜んでいるので、わたしは良かったねぇと頷いた。

たまに訪れる不思議な経験、わたしはとても好きです。

 

今そこにいる理由を知るのこと

有象無象が天文学的な数ほど存在している世の中で、ちっぽけな自分ひとりが今、ここにいる理由なんてないだろう、と思いがちですが、そんなことない日もあります。

例えば。

無人レジの使い方が分からなかっただけで店員さんに暴言を吐き続ける輩がいて、隣のレジで会計中の通りすがりの私が止めに入る理由を探していた時にエラーが発生し、困り果てている店員さんを堂々と呼ぶことができたとき。(その後、輩が同じ店員さんを捕まえて、さらなる暴言を吐き始めた時にも、わたしの会計処理画面は新たなエラーとなり、同じように止めに入ることがらできた。)

商業施設の片隅で焼き芋をかじっていたとき、偶然通りかかった人がバサバサと目の前で荷物を落としてしまい、手助けするほどでもないけど、その人の足元に転がったペンだけ見落としそうだなーとハラハラ見ていたら、案の定、ペンを拾わず行ってしまいそうになったので、慌てて声をかけたとき。

こんなにたくさんの生命体が同時進行で生きている中で、こんなにちゃんと繋がりを感じられる場面があるというのが驚きです。

おてんとうさまが見ているぞ、でおなじみのおてんとうさまの存在を感じて、笑ってしまいました。

夢占いのこと

本日、いなりずしサイズの小さなウサギをつかまえたけど、他の人に見せたら逃げてしまったという夢を見たので、きまぐれに夢占いを検索してみたら、てんでバラバラなことが書いてあったので、まあそんなものよねと思い、見なかったことにしました。

解釈の幅広さがすさまじい寛大な世界に生きています。

月夜にマンションが歌うのこと

夜のバス停でひたすらぼーっとしていたら、道路の向こうのマンションの小さな窓が顔に見えてきて、さらにボーッと見ていたら、会話しているようにも見えました。

月夜にのんびり歌っているような、そんな妄想でした。