オオカマキリの婿が勝手に来たのこと

朝起きると、庭に出しておいたオオカマキリさん(メス)のカゴの上に、見知らぬオオカマキリさん(オス)がおふたりも乗っており、非常に困惑しました。

お育てしているオオカマキリさん(メス)は、もともと体格が良く、バッタなどをモリモリ食べてお腹も大きくふくらんできておりました。野生のお方なので、交尾済の可能性もあり、このまま元気に育って卵を産んでくれたらいいなと思っておりました。

そんななか、突如現れた婿候補2名。冬を越し、我が家の庭で生まれたオオカマキリたちだと嬉しいのですが、庭先でこんなに立派なオスを複数見た記憶もないので、近所から飛んできた方も含まれると思われます。

困惑するヒトには目もくれず、カゴのなかにおわすオオカマキリさん(メス)に夢中なおふたり。諍いをすることもなく、どちらも諦める様子もないことから、両方カゴに入っていただき、どうなるか見届けることにしました。

カマキリの交尾といえば、「メスは交尾のために近寄るオスさえ食べる」「交尾後、オスは食べられる」「交尾中でも食べられる」など、メスの獰猛性を誇張したイメージが流布されています。わたしも「カゴに引き入れた婿さんが食べられたらどうしよう」とひやひやしていたのですが、結果的には、大変スムーズに交尾にいたり、その後オスが食べられることもなく、カゴのなかで共に過ごしておられました。

面白かったのが、ふたりの婿候補の動き。

オオカマキリさん(オス)を手に乗せて、ひとりひとりカゴの中に入れたのですが、一方がわたしの手から逃れてパッと飛び上がり、もう一方のオスの目の前に着地したのです。単にヒトの手から逃れるための動きだと思っていましたが、ふたりをカゴの中に入れた後、飛び上がった方はすみやかにメスに近寄り交尾に至ったのに対し、もう一方はメスに近寄りもせずカゴの隅でじっとしていたことから、相手を牽制したのではないかと推測しました。

ちなみに交尾済のメスさんのもとには、今日もオスがおひとり訪れておりました。

お美しいアオミドロのこと

いつのまにかもわもわたくさん生えてきて、繁殖しすぎるとあまりきれいな水辺に見えなくなるアオミドロ。

顕微鏡で見てみると、大変お美しくてびっくりしました。

すてきやないかい。

ドジョウ様に話しかけるのこと

稲刈りのため、田んぼから水が抜かれています。

水路に取り残された生きものがいないかと、泥の中に網を入れると、もじょもじょと動くドジョウたちがおりました。

動くドジョウを掴むのは、なかなか大変なことです。さらに、水の中の生き物は、ヒトの手の温度で火傷したり、粘膜がはがれて弱ってしまったりします。うっかり熱々のアスファルトに落とすなんてとんでもないことですから、なるべくさっと、網からきれいな水をたたえたバケツの中に移動していただきたいのです。

そこで、お声がけをしてみることにしました。「きれいな水にすぐ入れますので、どうか手にお乗りください。」(実際はとても焦っているので、もっとしどろもどろしています。)と言いながら、ドジョウを掴みます。

すると、声をかけることで自分自身にも気合が入るのか、無言で掴もうとしたときよりも成功率が高かったような気がいたしました。

なにごとも、気の持ちようですね。

かけ布団さんのこと

朝晩冷え込む季節になってきました。

夏の間触ることさえ避けていたかけ布団さんをひっつかみ、もぐりこまないと明け方肌寒くて震えてしまう温度です。

毛も甲羅も鱗も脱ぎ捨てて、つるつるの真っ裸で暮らすことを選んだヒトにとって、外側の皮となる衣類や布団やは、本当にありがたいものだといつも思います。

旅に出るイモムシのこと

アオスジアゲハの幼虫様が羽化するまでお世話しております。

いつもはクスノキの葉にくっついてじっとしていることが多いのに、葉から離れ、虫ケースの天井でじっとされている姿を見かけました。

これは、蛹になる場所を探して旅に出ようとしてらっしゃるのかも!

わたしはいそいそと幼虫様を別のケースに移し替えました。蛹になる直前はお食事することもないでしょうが、念の為、クスノキも一枝いれて準備万端。

次の日、蛹になっているかと期待して見てみると、アオスジアゲハは幼虫の姿のまま、クスノキの葉の根元につかまってじっとされています。クスノキの葉はすべて半分齧られて、うんちもいっぱい。

つまりは前のケースのクスノキが乾燥してしまい、幼虫様は食べられるごはんを求めて旅に出ようとしていただけだったのです。なんと申し訳ないことか!

あわててクスノキをとりに走りました。

違いを見るのこと

草むらにしゃがんで、じっと目の前の草花を見つめます。

植生調査なので、できれば全て同定できるようになりたいのですが、植物分類に明るくないため、気合だけでは乗り切れません。

ふと、とあるイネ科の植物に目がとまりました。一帯を占めるものとは違い、ひとつだけ種のつき方が違います。大きめの種が整然と並ぶさまは自然なのにどこか奇妙で、これが実ればさぞかし食い出がありそうというデザインです。

面白いなと思うものが目に入ると、急に別の植物たちのカタチも目に入るようになりました。

違いを見るって楽しいです。

終わりなきのこと

アオスジアゲハの幼虫のために、クスノキの葉をとってきました。

さあ差し上げようとよく見てみたら、葉裏に別の幼虫が……。まだ小さいですが、スズメガさんらしきお姿で、どのように大きくなられるのか気になり、この方も羽化するまでお世話することにいたしました。

終わりなきこの感じ…。カレルチャペックの「園芸家12ヶ月」を思い出しました。