千歳のこと

夕方のビル街を、4人の小学生が賑やかに歩いていく。黄色い帽子にランドセル。気の合う友達どうし、のんびりと帰路の途中らしい。

「1,000年生きたらさ〜」

1人の言葉に、3人は爆笑し「そんなの無理だよ」と言いつつも想像力を刺激されたようだ。

「目は飛び出るんじゃない?」「骨だけみたいにガリガリになって〜」「頭はつるっつる!」

ぽんぽん弾む言葉を受けて、彼らの後ろを歩くわたしの脳裏に、件のおじいさんの姿が浮かんだ。ふむふむ、君たちが想像する1,000歳はこんな感じなのね。

同時に、なぜか「知ってる」という言葉も浮かんだ。いやいや、こんなおじいさんのことは知らないよ。知っているのは……そう、知っているのは、1,000年生きる樹のことだ。

ヒトの身体はせいぜい100年もてばいい方だけれど、地球には1,000年以上生き続ける大樹がある。ヒトはある程度大きくなったら歳を重ねてもしぼむ一方だけれど、樹は歳を重ねて大きくなる一方だ。枯れたり、朽ちたり、穴が開いたりはするけれど、年輪を重ね驚くほど巨大になる者もいる。

同じ生きものなのに、こんなに構造が違うなんて、不思議だなー。

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