セミの姐さまをオリーブへのこと

セミの姐さまがベランダで倒れておられました。足をじたばたされて、まだ生きておられます。

そっと指におのせして、庭先のオリーブへ移動していただきました。

生きてる間、快適に過ごしていただきたい。

抗議の声を上げる虫のこと

「プジップジッ」と、極々小さな穴から蒸気が噴出するような音がした。

ヒゲコガネの触覚に触れようとした瞬間である。「威嚇音だ」と分析するよりも早く「怒られた」と感じた。触覚に触られるのは、当たり前だが、やはりよほど嫌なことらしい。

「ギチギチィッ」と、小さな歯車をおかしな方向に擦り合わせたような音がした。

捕らえられたスズメガの仲間が発した音である。やっぱりすぐに「怒ってる!」と伝わってくる。

いやだ、やめろ、という気持ちは、容易に伝わるようになっているのだと感じた。

こぐもちゃんのこと

床に小さな点がある。いや違う、クモだ。とても小さなハエトリグモだ。

いつもなら「あらこんにちは」とご挨拶したあとは特になにもせず、自由で元気に過ごしていただくのだが、コグモちゃんは誤って踏んでしまいそうな絶妙な場所にいる。

仕方がないので、そのへんの紙の上に移動していただき、安全な窓辺までお連れしたのが2日前のこと。

それなのに、本日、まったく同じ床の上に、コグモちゃんがいたのである。

よりによってなぜその場所?なにか美味しいものでもあるのかしら。

遠方のお山に登るのこと

遠方のお山に登りに行きました。登山ほど過酷ではないものの、てっぺんまで往復2〜3時間はかかります。

その場の景色や生き物たちの美しさや素敵さを思う存分感じつつ、つい、地元のお山のことをぷかぷかと思い出してしまいます。

わたしはかなり、地元が好きなのだと、遠方に来て気づきました。

セミのおしっこひっかかるのこと

木の上でセミがギャチギャチっと変な声をあげた。

なんだろうと思ったが、とくに気にすることなくその場にとどまっていると、雲一つない晴天から、ごくわずかな量の水分が降ってきた。

これは、セミのおしっこ!

かなり高い場所にいたようだから、「わたし」を認識して「ひっかけた」のではなく、たまたま「ひっかかった」だけだろう。

思わずにおいをかいでみましたが、とくににおいはしませなんだ。

 

サギのこと

見るたびに「サギーさーん!」と叫びたくなるくらい、サギが好きです。

そんなサギの絵を描いていると急に「ペリカンに似ているな」と思ったら、サギさんはペリカン目もお方でした。

やっぱりー!

じっとするといてくれるのこと

川底の石を持ち上げる。

石の下に隠れた生き物を探すためだが、大概は持ち上げた瞬間にびっくりして逃げられてしまう。

しかし、舞い上がる砂利が落ち着くまでじっと待っていると、ヨシノボリやサワガニがそのままいてくれることがある。さらにじっとしていると、水に沈めた手の近くまで寄ってきてくれることも。

捕まえようという意思を感じさせなければ、のんびりした姿を見せてくれる子たちもいるようだ。かわいい。

側溝に落ちかけたショウリョウバッタのこと

視界の端に違和感あり。

見れば、側溝の金網にショウリョウバッタがひっかかっている。

「そんなことある?」と思ったが、事実なので仕方ない。金網の隙間に落ちそうになったところ、長い足と胴体が絶妙にひっかかり、身動きがとれなくなってしまったようだ。

「何があったの」と声をかけながら胴体をつまみ上げる。前足がひくひくと小さく動いたので、無事生きているようだ。

アスファルトだらけの区画を抜け、街路樹と草地のある低木の上に乗せる。ビョンっと高く飛び上がるかと思ったら、本調子ではないのか、ぎこちなく落ちていってしまった。

灼熱の炎天下、しかも焼けるような金網にひっかかってたのだもの、ダメージが大きかったのかもしれない。

息災であれ。

足場になるのこと

歩道橋を登りきったところで、ぴょいっと緑の小さなものが飛びついてきた。

白いシャツにつかまっていたのは、まだ幼いカマキリ様。

欄干の切れ目で立ち止まっていたところ、ちょうどよく階段を上がってきた物体(わたし)が現れたので、足場にしてくれたらしい。

なんて可愛いの!

安全な街路樹の低木まで誘導したあと、嬉しさと面白さが爆発しました。