ネコ教のこと

はるか前方に、猫にひれ伏している人の姿が見えました。

エサをあげたり、なだめすかしたりするそぶりはありません。まるまる猫の前にうずくまり、ただじっとしています。

都会にはいろんな人がいますが、「早朝、屋外で猫の至近距離にせまり、土下座スタイルでじっとしている人」というのは、それまで見たことがありませんでした。

わたしは咄嗟に「ネコ教だ!」と思いました。おネコ様を尊いものとする新たな宗教の、朝の礼拝的なものなのではないかと推測したのです。

その人はわたしの進行方向にいたので、近づかざるをえません。内心どきどきしながら歩いて行くと・・・猫の間近で熱心にカメラをかまえているのが見えました。

ちょっと、ほっとしました。

木のスプーンのこと

木を削ってスプーンを作っています。

日々の道具や日用品、着るもの、食べものなど、なんでも作れるようになりたいと意気込んで早半年。ヒノキの端材を買って、スプーンを削っています。

ヒノキは削るたびに良いかおりがするし、ナイフで削った面はつるりとして非常に美しいので、作っている最中からうっとりしています。

わんさと出た削りカスも、消臭に使えるというので、全てとっておき、我が家のあちらこちらに配置しました。なんとなく、変な匂いが消えた気がします。

あとは全体を紙ヤスリで削ってクルミのオイルを塗るだけ、というところで作業がとまっています。

日中まとめて作業できる日が少ないので、なかなか進まないなー。

北斎先生のこと

つい先日、名古屋市博物館まで北斎先生の絵を見に行きました。

北斎先生の描くものは、どれもどなたも分け隔てなく、みんな生き生きとして楽しそうなのよね。

ちなみに、展示のなかで一番心惹かれたのは、へくさいなる者の手紙でした。

はー。粋だー。

着たい服のこと

性別のないファッションのことを描こうと思ったのです。

男女どちらでも着られる衣服を売る店といいながら、男女全く同じデザインの服をサイズ違いで売ってくれる店を見たことがありません。

私が求める宇宙服っぽいガチャっとした防寒着や鮮やかな青色のセーターなどは、女物コーナーにはありません。

あ、いいな、と思う服や靴を男物コーナーで見つけたとしても、重いし、サイズも合わないので着ることはできません。

大変ベーシックなデザインで良いので、男女全く同じデザインのサイズ違い(そして軽い)服を売ってくれる店があればいいのにと願います。

ちなみに、絵はね、性別のないファッションを表そうと思ったのですがね、なんか、ちょっと違う感じになりました。

民族衣装も大好きです。

屋敷のこと

近所に何軒か屋敷があります。

防風林に囲まれ、家の前にほどよい広さの畑、庭先に果樹、裏庭に竹林、針葉樹、こじんまりした納屋もあります。お隣さんの敷地とも近すぎず遠すぎずの程よい距離です。

完全自給とまではいかないけれど、ある程度のことなら自分の敷地内だけでまかなえちゃうぜ、という余裕が感じられて、とても憧れています。

代々受け継ぐ家や土地を持っていると大変なのでしょうが、いざというときに、ほんの少しでも食べ物を自給できる環境があるというのは、これからとても強いと感じています。

食料を買ったり、家庭菜園をするにも土地を借りたりしないと生きていけない今の自分から見ると、とても羨ましいことです。

後片付けをする巨人のこと

 

わたしたち「ヒト」という生きものがいなくなったとき、わたしたちがつくったモノはどうなるんだろうと、たまに考えます。

いずれ朽ち果てて大地に還るとはいえ、自然の浄化作用だけでは途方も無い年月がかかることでしょう。また、他の生きものにとっても生活しづらく、不都合が多いかもしれません。

そこで、誰もいなくなった地球で、ヒトのつくったものを片付ける巨人になりたいと思いました。もうヒトは誰も住んでいないので、心置き無く掃除ができます。

もしもわたしがものすごく力の強い巨人だったら、他の生きものにとって住み心地の良い部分は残し、そうでない部分は片付けて、もとの素材に戻したいです。例えば、鉄塔を引っこ抜いて、丸く固めて鉄の塊に戻すとか、アスファルト道路をロール状に巻いてから圧縮し、石油に戻すとか。

ヒトがつくってしまったものを、なるべくもとの状態と同じになるよう、大地に還したいなと、そういう妄想をしています。

念のために書きますが、決して破壊しているわけではありません。誰も使わなくなったものが早く朽ちるよう片付けがしたいだけなのです。

都会のこと

都会で与えられる自分のスペースは、職場でも電車でもカフェでも公共の場でも、大体、腰掛け1つ分しかない。

その小さなスペースを確保するために、お金を払うか、奪い合うか、譲り合うか、誰かに割り当てられるか。

苦労して手に入れたところで、たった腰掛け1つ分。

だから窮屈に感じるんだろうか。

 

ご当地うどんのこと

旅先で有名なうまいもん。

それを喜んで食べるのは観光客くらいで、実は地元の人には馴染みがないというのはよくある話です。

本日も、ちょいと有名なうどんを食べて満足していたら、地元の方(と思わしき方)が別のうどんを注文されていて、中身がとても気になりました。

観光客向けに作られたおもてなし料理もぜひとも食べておきたいところですが、地元の方が普段食べているというものにも特別な魅力を感じます。

次に来るときは、絶対にあれを注文しようと心に決めました。

 

 

ぬか漬けのこと

ぬか床とともに生活するようになって早数ヶ月。

プラスチック容器に出来合いのぬか床、というあまりこだわりのないところからスタートし、お世話の仕方やお困りごとはインターネットで調べながら今日までやってきました。

ぬか床さん(ぬか床にいる微生物さんたち)は、いきものなので、気温や漬けたもの、その日の気分などで様子が変わります。ぬか漬け初心者のわたしは、日々わたわたとし、つくる漬物の味も安定しません。

でも、とても楽しいのです。

ぬか床さんをかき混ぜた手はぬかくさくなりますが、つやつやのぴかぴかのうるうるになり、肌荒れ知らずになります。

始める前は、毎日かき混ぜるなんて面倒くさいのではと思っていましたが、いつのまにかぬか床さんに話しかけるようになり、かき混ぜ忘れた日はひたすらぬか床さんに詫びるようになりました。

漬物をつけるための道具、というよりは、未知のいきものと暮らしている、という感覚です。

微生物、おもしろいなー。