いもむしたちの夜のこと

皆さんは、夜のいもむしをご覧になったことがあるだろうか。わたしは今夜、初めて見た。

我が家の小さな駐車場のコンクリの上に1ぴき、伸縮しながら前へ進むいもむしがいた。夜なのでコントラストくらいしかわからないが、背中側はのっぺりとしていて、足元に強い色が入っているように見える。

葉や枝の上、あるいは土の中でよく目にするが、硬いコンクリの上を一心不乱に歩く姿は珍しく、つい、しゃがみこんで観察してしまった。いもむしは、どでかい生き物に注目されていることを知ってか知らずか、とくにスピードを変えることなく、伸び縮みを繰り返し、少しずつ前方へ進んでいる。

剪定枝から出てきたのかな、と思いつつ玄関に向かう途中で、もう1ぴき、先ほどとは違う模様のいもむしを目撃する。こちらはなんとなく、丸まっているようないないような、不思議な姿勢のままうごめいている。何がしたいのかは、正直、よくわからない。

ちなみに、本日我が家では植物の剪定などはしなかったそうである。ならば、このいもむしたちは、住処を奪われしぶしぶ移動しているのではなく、自ら望んでコンクリの上に這い出して来たことになる。いもむしたちは、こうして鳥たちがあまり動かない夜に、行動範囲を広げているのだろうか。

なんとも不思議な夜である。

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