無題のこと

贈り物だよ、と目の前に差し出されたのは、重く分厚いルールブックだった。

ここには、人間が作り上げたありとあらゆるルールが載っている。これに従えば、君も社会に認められる立派な人物になれるだろう、と満足そうに笑うヒト。

なんて的外れなんだろうと、ぼくは思った。

ぼくはただ、祝福されたかっただけだ。ぼくらが各々の力で、よいものを見つけ、実現することができるよう、あたたかい言葉をかけてもらいたかっただけなんだ。

そんなことすら、叶わないのか。