その昔、大地の緑はたった一粒の種子から広がったという。
戦災で故郷の森を失った子供が、種子を授ける者が棲むという離れ小島「動く森」へと渡り、種子を生み出す巨木を見つけ出した。
巨木は言う。種子の力は、島から出ると弱ってしまう。故郷の森を蘇らせたいのなら、島で育った花の子に種子を持たせ、無事送り届けよ、と。
子供は、世間知らずの花の子を連れ、故郷を目指す。
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「という言い伝えが、この島には残っているんだよ。」
「……それ、ただのタネ苗屋じゃないの?」
はい。というわけで、凡人が考える、どこかで一度読んだことがあるような物語を、それっぽいラクガキを添えて気まぐれに書き綴るカテゴリを設けました。その名も「切れ端の物語」。せっかくなので続くといいなと思います。