とあるチューリップの立ち振る舞いのこと

庭のチューリップのなかで、いち早くつぼみをつけたものがおりました。まだ葉ばかりの仲間をさしおいて、その方は茎をぐんと伸ばし、花開こうとしておりました。

春の兆しが一変、冷たい雨が強く降る日がありました。ふと庭を見てみると、チューリップの葉はあるものの、ほころびかけていたつぼみがひとつも見当たりません。それどころか、にょきにょきとのびていた茎も葉に、隠れてひっそりしています。

それまでチューリップなどの植物は一度成長してしまったら寒くなっても同じ長さを保ち、最悪霜焼けのようにしんなりしてしまうだろうと思っていたので、大変驚きました。驚きすぎて、何度も見直しました。

再び暖かくなった朝、おそるおそる見てみると、件のチューリップさんは昨日よりも葉を広げ、少しだけ首をのばしておりました。まだ様子を見ているようで、つぼみは固く閉じられたままです。

当たり前のことですが、チューリップも生きものなんだと納得しました。

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