お弔いのこと

農園で土を掘り起こすたびに、アリの巨大都市の一部を破壊する。突然現れた大きな何者かに一方的に都市を破壊されるなんてパニック映画のようだと俯瞰的に思う一方で、アリにとっては非情で残虐な行為であるとも自覚する。

わたしはアリをぼんやり眺めるのが好きなので、今の時期はアリの活動が活発なのも知っている。しかし、ここまで発展しているとは。

畑のどこを触ってもだめなんである。例えば、小石をちょいとつまみあげると、石の裏にびっしりアリたちが歩き回っていて、「きゃー」「わー」「なにすんのー」となる。ざっくりスコップを差し込むと、うじゃじゃじゃ〜とアリたちが湧いて出て「ぎゃー」「大変だー」「逃げろー」となる。

しかし、突然現れた何者かに対し敵意を向けるかと思いきやそんなことはなく、「ひえ〜」と歩き回りながら、全く異なる地形となった周辺を観察しているようでもある。さらに、よそから転がって来た青虫や羽虫をちゃっかり攻撃し、食糧を確保していたりもする。

わたしはやっぱりアリが好きである。だから今日はお弔いの気持ち。