ジョウビタキさんがくるのこと

我が家にジョウビタキさんが来てくださった。

調べてみると、ジョウビタキさんは寒い冬の間、ロシアや中国から日本にやってくる渡り鳥だそうで……え!?渡り鳥!?あの小さな体で海の上を、毎年、渡って来てるの!?ものすごいことです。

しかし、この時期の庭には、虫のいそうな緑も、実をつけた樹もないため、なんだか申し訳ない。どうして来てくださったんだろうか?もしかして、知らないだけで、おいしいものが何かあるのかしらん?

ガラス窓の向こう側からわたわたと見守っただけですが、とにかくうれしかったです。またゆっくりしていってくださいまし!

植物のラインのこと

植物の形は、とても美しい。

あの丸みやしなやかなラインを描きたいのに、画用紙の上に引いた線はどうもぎこちない。

いつか、あの、みずみずしく豊かな様を、そのまま表現できたらいいなあ。

体はおもさを感じる日のこと

自分の体が重たいということがよく分かる日がある。起き上がるのも、立ち上がるのも、とても億劫だ。

普段はこの重さをひょいひょいとあってへこっちへ跳んだり動かしてるんだから、わたしってスーパーすごいのかもしれん。

そおっとタオルを開くのこと

今朝、部屋の片隅でふんわりと丸まっていたタオルを、そおっとそおっと開いてみると、クモちゃんはいませんでした。

いないということは、元気な証拠。ちょっぴりさみしいけれど、おばちゃんはうれしいです。

ハエトリグモちゃん、風呂に来るのこと

気がつくと、湯船の縁にハエトリグモちゃんがいらっしゃった。このクモちゃんは、最近脱衣所で見かけたあの子であろう。今日はとくに寒かったので、湯気がもうもうと立ち込める暖かい風呂場まで来ちゃったのかもしれない。でも、そこは、とてつもないデンジャラススポット。わたしのように迂闊なヒトが、湯面をゆらしてひきずりこんでしまうかもしれない。なんとかして、お助けせねば。

わたしは乾いたタオルを持って、クモちゃんに近づいた。クモちゃんはタオルが近づいてもぴゅーっと逃げたりはしないが、警戒はする。じりじりと濡れた壁面を登るなかで、足をすべらしてタオルの上に落ちて来たクモちゃんを慎重に包むと、そっと外に連れ出した。

タオルでできた複雑な洞窟を覗き込むと、クモちゃんは身体を縮めてじっとしている。部屋の片隅にそおっと置き、しばらく観察していると、クモちゃんはそろそろと明るい方へ出て、くるくると周りを見回してから、またタオルの洞窟へ戻っていってしまった。急ごしらえの仮の宿を、どうやらお気に召していただけたらしい。よかった。

あの部屋の片隅の、くしゃりとなったタオルのなかに、小さないのちがぬくまっていると思うと、なんだかとても愛しい気持ちになる。

魔力銀行のラクガキ

「お預かりしていた魔力ひと月分をお渡しする準備が整いましたので、3番窓口までお越しください。」という魔力銀行のラクガキ。

魔力は多かれ少なかれどなたもお持ちかと思いますが、ヒトによって満ち引きの差が激しく、安定しないため、必要な時に十分な力を発揮することができない場面が多々あるかと思います。わたくしたち魔力銀行は、あなた様の魔力をひと月単位でお預かりし、必要なときにいつでもお引き出しいただくことが可能です。ただし、時間外窓口での魔力のお預け・お引き出しには、手数料として黒プリンや赤ヨーグルトが必要です。

こういうちんぷんかんぷんなことを考えているときはとても楽しいです。

おもしろきことのこと

おもしろきことをノートなどに書いておき、たまに見返してまたおもしろがる、ということをしています。

お焚き上げの煙と木漏れ日が相まって神社の境内がものすごく神々しくなっちゃってる瞬間に遭遇したり、寺の樹上からちょうど斜め四十五度の角度で目の前の地面に降り立ったカマキリの軌跡に感動したり、お祭りの日にスズメに身体を啄んでもらうことで身なりを整える狛犬さんを目撃したり。

この世はなかなかにおもしろきことに溢れていますぞ。

 

ゆったりお茶を入れてもらうのこと

とても人気のお店まで予約商品を受け取りに行くと、お茶をお入れしますがゆっくりできるお時間はありますか、と問われた。そこまで随分長いこと歩いていたので、そのお申し出は大変ありがたく、二つ返事でお茶をいただいた。ゆっくり丁寧に入れられたお茶の香りは福々しく、とても豊かな心もちになれた。

このお茶の時間は、予約商品を準備する間の場持たせではなく、ただ受け取りに来たヒトをもてなす時間だった。なんだか大事にされているような気がして、いいなあ。

ラジオドラマに涙するのこと

映画「ラジオの時間」に登場した、ラジオ聴者のトラック運転手さんをよく覚えています。初めは聴くでもなく聴いていたのに、いつの間にか物語にどっぷり入り込んで、最後は登場人物を熱く応援しちゃうという素敵さ。

本日、手仕事の暇つぶしにとラジオのアーカイブスでラジオドラマなぞを聴いてみたら、わたしもいつの間にか登場人物のことを熱く応援し、涙を流しておりました。ラジオドラマってすごい。

親戚か近所のおばちゃんのような気持ちになりました。