誰かの景色のこと

目の前にあるのは、赤い岩がごつごつとした山脈の写真。よく目を凝らすと、その場に自分がいるような気がしてくる。

赤い石を拾い上げたら、見た目よりも重いだろう。鼻に近づけると、乾いた匂いがするだろう。削れた岩が多いので、崩れないように、慎重に歩かないと。身を守る草木も生えていないから、風に吹き飛ばされないよう踏ん張らないといけないかも。標高が高いので、空気も薄いだろう。そして、すごく寒そうだ。

わたしがこの景色を見ることができるのは、この場所で写真を撮った「誰か」がいるからだ。

誰か、すごいな。