巡るいのちのこと

おカイコ様のなかで「ひとりっこ」と呼んでいた子がいます。

大勢のなかでは具合が悪くなるのに、ひとりにすると元気になる子でした。他より成長がゆっくりで見分けがつきやすく、自然に「ひとりっこ」と呼びかけるようになりました。

繭になるのも、羽化するのも最後だった「ひとりっこ」は、卵を生んでしばらくのんびり過ごした後、本日、死にました。

可愛かったおカイコ様たちを思い、しんみりしながら木箱を片付けていると、うごうご動く小さな点を発見。なんと、卵の一部が孵化し、幼虫が動いているのです。ほとんどの卵が休眠卵(越冬しないと孵化しない卵)だったので、すっかり油断していました。

最後のひとりが死んだ日に、新たな子どもが生まれるなんて!

さっそく、桑を採るために走りました。