ミミズのミステリーのこと

わたしはミミズを尊敬しています。

子どもの頃、芋掘りだかなんだかで畑に行ったとき、農家の方から「ミミズのいる畑はいい畑。ミミズが土を耕してくれる。」と教わって以来、わたしは畑で出会うミミズを「ミミ様」と呼び、勝手に敬っています。

しかし、どうしても解せないことがあるのです。

彼らはなぜか、たびたび地上に出て来て、アスファルト道路を横断しようとします。雨の日は無残に車の下敷きになり、晴れの日は日差しに焼かれ、尊い命を散らしているのです。

雨上がりとなった本日も、アスファルト道路を横断していくミミズたちを見かけました。「なんでなの・・・」と問いかけても、行軍がとまるわけではありません。

ミミズはとても身近な生きものですが、その生態が全て明らかになっているわけではありません。ミミズが地中に出てくることについて、皮膚呼吸や体温調節を理由にあげて、雨のあとは息苦しくなるだの、晴れの日は暑苦しくなるだのと最もらしく語るヒトもいますが、わたしは非常に疑わしいと思っています。

だって、雨の日に地上で必ずミミズに出会うわけではありません。また、土中の全てのミミズが苦しくなって出て来るとしたら、道が埋め尽くされるほどの数になるでしょう。そもそも、雨や炎天下のたびにそんなことしてたら、種としての数が激減してしまいます。ミミズはそんなに愚かな生きものじゃないと思うのです。

もしかしたら、雨あがりや夜露に乗じて、つるつると新天地に移動しようとしていただけなのかもしれません。アスファルトや側溝で道を塞いでいない時代なら、ミミズたちは、もっとおだやかに移動ができていたのかも。

ミミズのミステリーです。