モノがたり風ラクガキのこと

針ノ木が無数に刺さる針山から、たった一本のミルズルの針を引き抜いたのは、年若い水族のモノだった。モノに迷いはなかった。モノにとって、針は漁の道具にすぎない。分厚いショモツの中から好みの頁を見つけると、モノは惜しげも無くモジをまいた。あとはおびき寄せられた家イカの根元に針を突き刺し、頁上に固定すればよい。気をつけなければならないのは、家イカの胴体が十分に出きってから固定すること。家イカは胴体の最下部にドアを持つものがほとんどだが、これが頁上に出ないまま固定してしまうと、出入り口のない家になってしまうからだ。そう、モノは家捕りの真っ最中なのである。

という感じの、モノがたり風ラクガキです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です