モモのいる世界のこと

否応無く「変われ」と言われ、今まさに帰路に立っている。

道は無数にあるだろうが、あちら側とそちら側にふたつの世界があり、どちらの世界でも、一見、ヒトが悠々自適に暮らしているように見える。

ひとつは、ヒトの仕事を別のモノにまかせた世界。有り余る膨大な時間を自らの美と健康と富と名声、ヒトの繁栄のために使うことができ、極めて清潔な空間で、信じられないほど長く生き続けるに違いない。ただ、いつか別のモノたちから「いらないもの」と見なされて、排除されるだろう。

ひとつは、ヒトの仕事をようやく思い出した世界。他の生きものと同じように、託された自然界での役割を思い出し、想像することの楽しさと手間暇かけて持続させる喜びを日々噛みしめることだろう。ただ、思う存分身体を使うので、寿命はほどよく縮み、長生きできるヒトは少ないだろう。

わたしは、モモがいる世界を選びたい。どうすればそちらの道に近づくことができるか、毎日毎日、考えている。