身体に優しく話しかけるのこと

午後からおもくるしい予定があった。そのために物事を考えるゆとりのない状態で走り続けなければならなかったので、自分が緊張しているという自覚はなかった。

わたしがそれに気付いたのは、お弁当を半分食べた頃だ。お腹がいっぱいになっていた。いつものお弁当箱にいつものようにつめたご飯とおかず。冬の間はカップ味噌汁やカップスープを追加するのは常のこと、いつもはおやつまで食べるのに。まだ、半分残ってる。あと半分食べ切れるかしら、と不安になった。

そう言えば、なかなか食べ終わらないな、と感じていた。いつもなら、とっくに食べ終わっている頃だ。いつもよりご飯を食べるペースが落ちている。そりゃそうか、もうお腹いっぱいだもんな。

でも、なんで?昨日も帰りが遅くて、ごはんをしっかり食べられなかったから、胃が縮まったのかしら。それにしても急すぎる。

そこで、あっ!と気がついた。わたし、緊張してるんだ。緊張で、お腹が縮まっちゃってる!頭は鈍感になっていたが、身体は心を失わず、感じたことを表現してくれていたのだ。

大丈夫だよ、お腹さん。今は緊張で入らないと思うかもしれないけど、いつもはこのお弁当箱ひとつ、ペロリと平らげているよ。本当は全部入るくらい、お腹は空いているはずよ。

左手でさすりながら語りかけるうちに、お腹も緊張を解いてくれたらしい。おまけのミカンまで、ちゃんと食べることができた。

ちなみに、夕方にまたらバタバタと走り回ることになったため、このときちゃんと食べられて本当に良かったと思う。

ありがとう、身体さん。