新たな良さに気づくのこと

そこにスーパーがあることは知っていた。この十年で一度か二度は入ったことがある。古びた建物の中に商品がぎゅうぎゅうに詰め込まており、取り立てて安いわけでもなく、お客さんも少ない。わざわざ通うまでもないという印象だった。

ほんの一年ほど前までは、ヒトがたくさん押し寄せる場所こそ行く価値があり、行列や渋滞は面倒である半面、それができるほど人気であるという証拠でもあったので、わざわざ混み合う場所に訪れて、その場にいる自分に酔いしれることも多かった。

生活必需品を購入するスーパーでさえ、きらびやかで美しく、ヒトが押し寄せる大規模施設の商品の方が素晴らしいと思っていたときもあった。

でも、いまは、ヒトとの接触を極力減らす方が良いという時期。生活必需品を買うためだけに、混み合う大規模施設に行くなんてとてもリスキーだ。

それならばと、久しぶりにそのスーパーに立ち寄ってみて、驚いた。野菜も魚も新鮮で品質が良く、お惣菜まで美味しいのである!今までのところでは、肉がない粉だけの唐揚げとか、やる気のない助六とかの方が主流になっていて、スーパーのお惣菜で美味しくないのは当たり前と思っていたのに!

ちゃんと真っ当なものを売ってくれているのはどちらか、この機会にとてもよく知ることができた。