ミカンの声が聞こえた気がするのこと

ふと見れば、若木にたった一つ育ったミカンが、良い色合いになっています。

とり忘れを防ぐため、早めに収穫し、家で熟すのを待とうと考えました。

もぎとろうと手を伸ばし、またふと、「ミカンさんにも意見を聞こう」と思い立ちました。とは言え、本当に会話できるなんて微塵も思わず、自分の脳内に並べた都合の良い言葉を返事として、ミカンを収穫するための大義名分を得ようと思ったのです。

遊び半分で「もう収穫してもいいですか?」と、ミカンの木に聞いてみました。

ところが、脳裏に浮かんだのは、「だめです」という言葉。焦りました。いやいや、おかしい。予定と違う。もっと都合の良い言葉を思い浮かべてさっさと収穫しようと、もう一度ミカンの実を見ると、今度は「もうちょっと待って」という言葉か浮かびました。ええー、そんなあ!

自己完結かつ自己満足にミカンを収穫しようと思ったのに、なぜか自分の思考がままならなく、面白い体験でした。