初めてつくった手提げカバンのこと

わたしにとって「裁縫」は、とても遠い存在でした。裁縫で何かを作り上げた経験は、義務教育課程の家庭科まで遡らなければならないほど古く、長年敬遠してきたのです。

わたしが「裁縫」に目を向けたのは、「祖母は布団の打ち直しができた」という話を聞いたとき。

祖母はすでに他界し、直接話を聞くことはできませんでしたが、今では専門業者にお願いするのが当たり前というような技を身近なヒトが身につけていたという事実に衝撃を受けました。おばあちゃんすごい!と尊敬するとともに、昔はフツーのヒトが当たり前にやっていたのだから、もしかしたら、わたしにもできるのではないかと考え始めました。

さらに、わたしが「裁縫」の敷居の低さに気づいたのは、「この世界の片隅に」(著:こうの史代、双葉社)を読んだとき。

すずさんが、頭の中であーでこーでと考えて、何も測らず、線も引かずに、着物を仕立て直したところを読み、衝撃を受けました。なにも難しいことなんぞしなくても、やりたいようにやればいいんだと考えたら気が楽になり、わたしもやってみようかしらと考え始めました。

そして、わたしが「裁縫」の面白さに気づき、やってみたくてたまらなくなったのは「ソーイング・ビー」を見てから。

以前も書きましたが、NHKで放送されている英BBCのソーイング・ビーを見ていると、不思議なことに、わたしにようなものでも何か作れるんじゃないかという気持ちになってくるのです。

ちょうど、綿100%のエコバックを探しているのに見つからず困っていたこともあり、ならば自分でつくってやろうと思い立ったのです。

新しい布を断つのが怖い(だって失敗したら取り返しがつかないもの!)裁縫初心者なので、家にあった最早使われなさそうな切れ端と、使い古してよれよれになったクッションカバーで、なんとか完成させることができました。

無事に出来上がったのが、うれしい。裁縫、楽しいです。