4月、とあるお寺の門の前で、奥に咲く花をぼんやりと見ていたら、見知らぬご老人に話しかけられました。
お寺の由来や地元の歴史など、とうとうとお話されるのを興味深く伺っていると、「年に一度、8月24日に地蔵堂の中のお地蔵様が見られるよ。」と教えてくださいました。
その地蔵堂が由緒ある場所であることは知っていましたが、普段は扉が閉ざされており、中を窺い知ることはできません。
ちょうどその日、いつものように地蔵堂にごあいさつしたときに、真正面の障子の一部がはがれていることに気づきました。中が見えるのではないかと期待して背伸びをし、その場で目を凝らしてみると、暗いなかに仏像のような何かがあることがわかりました。
ご老人に話しかけられたのは、このあとのこと。
あまりにタイミングが良かったので、中を覗こうとするわたしの怪しい様を見られていたのではないかと心配しましたが、ご老人は地元愛を語るついでに教えてくれただけのようでした。
不思議なご縁で教えていただいたからにはぜひとも見てみたいと思い、本日、地蔵堂を訪れると、普段は閉められている扉が全部取り払われており、なかみを全て拝見することができました。
不思議なこともあるものです。