若い頃、世の中をこんなふうにした先人たちを恨めしく思っていた。
美しい野山と海に囲まれて、自然のめぐみをいただいて暮らしてきたであろうに、いつのまにか大事なものを取り違えて、コンクリとアスファルトに囲まれた、いのちをかえりみることのない世界を選んだ先人たちを。
この怒りは、今でもわたしの中にある。
そんなわたしも大人になった。今のこどもたちから見れば「この世をこんなふうにした先人たち」に含まれる、大人のなかま。残念だけど、確かにそのとおり。
わたしは大人になった。それならば、自分が暮らしたいと思える世を残せるようしたたかに生きてやる。