三界に家なしのこと

「三界に家なし」という言葉の意味を調べたら、この世は安住の地ではないことを意味するとわかり、溜飲が下がった。「おんなさんがいにいえなし」という呪いのような言葉がずっとひっかかっていたのだ。でも、おんなだろうがなんだろうが三界に家などなかった。

そもそも何者かの命を喰わねば生きられないこの世のつくりは酷だが、他の命のおかげで跡形も残さず消えることができる清々しさもある。さらに、姿形は見えずとも、思想や言葉が残ったり、「なんかいそう」といった存在感を示せたりする不思議さは残る。

三界の、欲界あたりをうろつくちっぽけなわたしでさえ、悩みながらもこの世は面白いとも思う。