ハエも選ばない世界に生きているのこと

「ハエ」と聞いて連想するのは、おばあちゃんちのハエ取り紙のこと。天井からぶらさがった細長く茶色い半透明の紙に、大きな黒いハエが何匹もぺっとり張り付いていた光景です。衝撃的だったのか面白かったのか、幼い記憶のわりに鮮明に覚えています。

そして、ここ10年あまり。黒くて大きなハエを見ていないなと気づきました。家でも外でも出会わず、むしろ駒ケ岳山頂や本宮山の山の中など、意外な場所で出会っています。

駒ケ岳山頂で出会ったのは10年以上前。駒ケ岳は観光客も多いし店舗も近いので「人にひっついてきたんだろう。たくましいことだ。」とのんきに考えておりました。

しかし、大縣神社の奥宮、本宮山山頂を目指して登っている途中、空気もきれいなほどほど高い場所に、ぶんぶんと元気よく飛んでいる黒い大きなハエを見た時、ようやく「あれ?」と思ったのです。

むしろ、あの大きなハエの方が、美しく澄んだ場所を選んでいるんじゃないか。

今、わたしたちが暮らしている場所は、ハエに見捨てられた、ひどい環境なんじゃないか。

ぞっとしました。

ちなみに、本日ハエの絵を描こうと図鑑を開いて……あの、大きな黒いハエがどの種類なのかわかりませんでした……。ハエって、きれいなの、かっこいいのおもしろいの、ほそいの、ふといの、本当にたくさん種類があるのですね!