知覚できない不思議のこと

ブロッコリーの葉についたモンシロチョウの幼虫を、そっとつまんで手に乗せる。

つまんだ指には、ふわふわとしたやわらかな感触があったのに、のせた手のひらには、幼虫がそこにいるという重みがなく、歩く足の感触もない。わたしの目には、手のひらをのそのそ歩く様子が映し出されているのに、手のひらではそれを感知できないので、とても不思議だった。

夏の間お世話をしていたおカイコ様の幼虫は、ひんやりつるつるした体をお持ちで、持ち上げるとそれなりに重みを感じたし、手のひらを歩く感触もわかった。

よく部屋を訪れるハエトリグモも、手の上を歩くと、くすぐったいような感じがするので、すぐわかる。

モンシロチョウの幼虫が歩くのを手のひらの上で知覚できないということは、モンシロチョウの幼虫はハエトリグモより軽く、歩く力を分散させるような構造になっているのだろうか。ともかく不思議。

ふわふわボディがそこに見えるのに、感じられない不思議さに、思わず「天使かしら」と思った。