いつの間にか秋を通り過ぎたのこと

10月の幾日かは心底冷えたような日があって、慌てて毛布を出したり冬物の服を出したりしましたが、10月下旬から11月上旬まではぽかぽかと暖かい日々が続いていたのですっかり油断していました。

この二、三日で秋を通り過ぎ、冬にぐっと近づいたような気がします。

少し暖かなうちに周辺のサクラは紅葉する前に落葉してしまいましたが、表情をコロコロ変える空模様や、日の光に照らされたススキの穂の美しさなど、秋を感じることも多かった気がします。

秋を惜しみつつ、ダイコンやカブの美味しさがどんどん増してくる冬も大好きなんですけどね。

いきものの生態を歌で覚えるのこと

NHKの教育テレビ放送されていた「むしまるQゴールド」という番組が大好きでした。生きものの生態を紹介するアニメーションと歌はとても面白く、こども向けと言いながら本気でつくったのがわかる素晴らしい完成度で、CDを買って何度も聴きました。

生きものは好きだけど、虫や魚捕りに熱中したり、図鑑でいろいろ調べたりするような熱意はなかったわたしが、「アゲハの幼虫時代は、柑橘系のリーフが好き」や「クロハゲワシは死んでる獲物のおしりから頭をつっこみやすいよう禿げている」という知識をちゃんと覚えていられたのは、むしまるQゴールドの歌のおかげです。

さて、こうした歌の中で個人的にとても好きなのが「トゲナナフシかげきだん」。

「トゲナナフシはメスだけ、おんなだけで生きてる」という歌詞が印象的で、生きものといえばオスとメスがいるもんだと思い込んでいたわたしの頭に新たな風を送り込んでくれました。自然界にはメスだけとか、途中で性別が変わるとか、そもそも雌雄同体といった生きものが結構いるというのも知って、目から鱗がぽろぽろ落ちたもんです。

そんなトゲナナフシさんに、初めてお会いすることができ、感激しました。子供の頃から知っていた有名人に会えたような感覚です。

オオセイボウさんのこと

ブロック塀の片隅に、キラリと青く光る何者かを発見。目を凝らすと、ハチのような形をした虫がとまっています。太陽に照らされて微妙に色合いを変える、その青の美しさといったら!あまりに美しいので、「お写真撮っても良いですか?」と声をかけ、撮影させていただきました。

カメラを近づけても逃げないなと思っていたら、ブロック塀の隙間にある巣の土壁に穴を開けて、産卵管を差し込んでいます。この虫さんの生態を知らないながらも、寄生蜂だろうと考えました。自分が作った家にわざわざ穴を開けたりしないだろうし、子どもが住まう大事な家に怪しいやつ(わたし)が近づいたら警戒するよねえ。

家に帰って調べてみると、オオセイボウ(大青蜂)と呼ばれるハチの仲間で、やっぱりよそのお家に卵を産む寄生蜂だということでした。大変美しい虫ですが、とくに珍しいわけでもないようで、そんじょそこらにフツーにいるのがすごいと思います。

 

樹皮がドラゴンの鱗に見えるのこと

クスノキやマツ、ナラなど、ごつごつと分かれた樹皮がドラゴンの鱗のように見えるため、「龍さん」と呼びかけうっとりと見上げることがしばしばあります。

先日も、神社の奥にひっそりと佇むムクノキの樹皮が逆立つ鱗のように見え、どーんと大きなドラゴンが聳え立っているようでした。あまりの格好良さに痺れました。幼い頃からファンタジー系ゲームに熱中し、すくすく大人になった甲斐があるというものです。

こういう大きな木は、恐れ多いので触らないようにし、下からうっとり見上げるだけにしています。仮にわたしが龍だったら、体温の高い手で急にべたべた触られたり抱きつかれたりするの、いやだものね。ほどよい距離感が大事。

秋空の芸術のこと

農作業の帰り道、面白い形の雲があちらこちらでしゅうしゅうと湧き出ていました。農園から見上げる空はとても広いので、美しさと面白さが倍増する気がします。空が描くアート、素敵です。

知覚できない不思議のこと

ブロッコリーの葉についたモンシロチョウの幼虫を、そっとつまんで手に乗せる。

つまんだ指には、ふわふわとしたやわらかな感触があったのに、のせた手のひらには、幼虫がそこにいるという重みがなく、歩く足の感触もない。わたしの目には、手のひらをのそのそ歩く様子が映し出されているのに、手のひらではそれを感知できないので、とても不思議だった。

夏の間お世話をしていたおカイコ様の幼虫は、ひんやりつるつるした体をお持ちで、持ち上げるとそれなりに重みを感じたし、手のひらを歩く感触もわかった。

よく部屋を訪れるハエトリグモも、手の上を歩くと、くすぐったいような感じがするので、すぐわかる。

モンシロチョウの幼虫が歩くのを手のひらの上で知覚できないということは、モンシロチョウの幼虫はハエトリグモより軽く、歩く力を分散させるような構造になっているのだろうか。ともかく不思議。

ふわふわボディがそこに見えるのに、感じられない不思議さに、思わず「天使かしら」と思った。

クワガタさんをスケッチするのこと

今年生まれ早々に蛹になり冬を越す前に羽化し、取り急ぎ味噌の空き容器に入っていただいていたクワガタさんをスケッチしました。

テーマは「旅人」です。

クワガタさんは昨日、味噌の空き容器の蓋を軽々はずしてお出になり、我が家内をお散歩したのち、風呂場の排水口付近で元気に動いているところを発見されました。味噌の空き容器にマットを詰め込んでつくった仮の住まいからなかなか顔を出さなかったので、すっかり気に入ってくれたのだと思い込んでいました。

見つけたときは本当にびっくりしました。無事で、本当に、よかったです。

湿らせたマットをたっぷり詰め、昆虫ゼリーを置いたケースに入っていただき、その場に慣れていただく間、スケッチさせていただきました。

きっと自然の木とか土とかを探していたんだろうに、ケースに入れてしまって申し訳ない。どうかもう少し、一緒に過ごしてくださいませ。

四年目のこと

こんにちは、さぼてんと申します。

「凡些亭」を立ち上げ、日々のことを描き始めてから、丸四年経ちました。

ただひたすら、わたしの日常を書きつづるこのサイトを四年間も見守ってくださって、本当にありがとうございます。

未知との遭遇」と題し、一年ごとに少しずつ交流を深めてきた方々も、今年は言葉と身振りでコミュニケーションをとるまでに成長しました。

ついでに漫画も描きました。

大概いきあたりばったりで描いているので、作品の中で登場する方々が自ら語り出して初めて、わたし自身も「そうだったのね〜」と納得することが多いです。

今回は、女の子が自分の住む村を見せたいというので絵を描き、なぞの方々が「地球生まれの地球育ちだ」とおっしゃるので漫画にしました。

わたしも地球生まれの地球育ち。壮大に生きていきたいです。

アブラナ科の皆さんのこと

夏の終わりに植えたアブラナ科の皆さんが豊作です。ダイコンも、カブも、ブロッコリーも、コマツナも、キャベツも、ハクサイもみんなアブラナ科の仲間。冬から春にかけて、甘くて美味しくなる皆さんは、大変ありたがい存在です。

面白いなと思ったのが、今日収穫した小カブ。

「小カブ」という割に大きく育ったなと思っていたら、ぱっくりふたつに割れて、双方に根が伸びていました。

ひとつのカブのままではこれ以上大きくなれないから、お互い別れて、それぞれ大きくなろうと思ったのかしら。

なんらかのドラマを勝手に感じ取りました。

我が家の今年の自慢のひとつのこと

11月になり、今年もあと2ヶ月をきりました。

今年、我が家が自慢したい出来事のひとつが「カマキリが庭に卵を産んでくれたこと」です。

夏の盛りから秋の中頃にかけて、我が家のせまい庭の一角で、ハラビロカマキリが暮らしてくれました。青紫蘇やレモンバームの葉に紛れながら、バッタなどをもりもり食してくれていました。

朝晩冷え込むようになるとカマキリの姿を見つけることができなくなり寂しく思っていましたが、先日両親が、ふたつの卵が残されているのを発見し、ポールに大事にくくりつけてくれました。

たくさんの生き物を食べるカマキリを2匹以上養うことができた我が庭は、それだけ豊かな環境に近づくことができたということ。両親とわたしとでドヤ顔がとまりませんでした。

ちなみに、見つけた卵を大事にしてくれる両親も、わたしの自慢のひとつです。